実家は生前贈与と相続どっち?
移転コストは相続が軽い。ただし「もめない」価値と2024年からの新ルールも勘定に入れる。
「元気なうちに実家を渡しておきたい」——気持ちはもっともですが、不動産の移転コストだけを見ると、生前贈与は相続より重いのが原則です。登録免許税は贈与2%に対し相続0.4%、不動産取得税は相続なら非課税。一方で、贈与には「渡す相手を確実に決められる=もめない」という値段のつかない利点もあります。2024年からルールが変わった点も含めて、判断材料を並べます。
| 項目 | 生前贈与 | 相続 |
|---|---|---|
| 贈与税・相続税 | 暦年110万円/年まで非課税。超えると贈与税 | 基礎控除3,000万円+600万円×法定相続人 |
| 登録免許税(名義変更) | 固定資産税評価額の2% | 0.4%(贈与の1/5) |
| 不動産取得税 | かかる(原則) | 非課税 |
| 2024年からの変更 | 相続前贈与の持ち戻しが3年→7年へ段階延長 | 相続時精算課税に年110万円の基礎控除新設 |
| 確実性 | 渡す相手を生前に確定できる | 遺産分割協議次第(遺言で補える) |
出典: 国税庁(暦年課税・相続時精算課税・生前贈与加算)/登録免許税・不動産取得税は法務局・都道府県の公表による。有利判定は個別事情で変わるため、必ず税理士にご確認ください。
「税額」と「もめなさ」の2軸で決める
移転コストだけなら相続が有利です。ただし次のようなケースでは、生前贈与(または相続時精算課税)が検討に値します。
- 相続人が多く、実家の行き先でもめそう——生前に渡し先を確定する価値は大きい。遺言で代替できる場合も多いので併せて検討を。
- 収益物件になっている——早く渡すほど家賃収入が次世代に移る。
- 値上がりが見込める土地——相続時精算課税は贈与時の価額で固定される仕組みのため、有利に働く場合があります(逆に値下がりすると不利)。
そしてどちらの場合も、判断の起点は「実家が今いくらか」です。評価額と市場価格は別物——税の計算は評価額、売る・分けるの判断は市場価格で行います。両方を手元に置いてから、税理士に有利判定を依頼するのが効率的です。
話し合いの前に、数字を。
実家の市場価格が分かると、贈与も相続も話が具体的になります。査定は無料。
よくある質問
生前贈与と相続、結局どちらが得ですか?
移転コスト(登録免許税・不動産取得税)だけなら相続が軽いのが原則です。ただし家族関係・収益の有無・値動きの見込みで答えが変わります。実家の価格を把握したうえで、税理士に個別の有利判定を依頼してください。
2024年から何が変わりましたか?
暦年贈与の「相続前持ち戻し」が3年から7年へ段階的に延長され、駆け込み贈与の効果が薄くなりました。一方、相続時精算課税には年110万円の基礎控除が新設され、使い勝手が改善しています(国税庁)。
実家をもらっても使う予定がありません。
使わない実家は、もらってからの固定資産税・管理・保険が全部引き受ける側の負担になります。受け取る前に「もらった後に売れるのか・いくらなのか」を確認しておくと、贈与の話し合い自体が現実的になります。
名義変更だけ先にしてもいいですか?
名義変更(贈与登記)をした時点で贈与税・不動産取得税の対象になり得ます。「とりあえず名義だけ」は後から高くつくことがあるため、必ず事前に税理士へご相談ください。